2010年7月アーカイブ

黒い狙撃手④

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ある木曜日早朝仄暗い朝に目が覚めた。

左足のふくらはぎが「こむらがえり」になったのである。

痛みで目が覚めた後、二度寝を決め込んだがふくらはぎの痛みが酷くて

眠ることに集中できない。

そのままシャワーを浴び、朝食を済ませ、着替えていつもより早く仕事へ

向かった。


蒸し暑く人気のない繁華街に近づくと、不穏な空気と異臭が漂い始めた。

今日は木曜日だ。

つまり、「ゴミの日」である。

そして「夏真っ盛り」でもある。

下北沢の多くの飲食店が、数日ため込んだ生ゴミを、ゴミ収集車に飲み込んで

もらうために、それぞれの指定場所である道端に投棄する。

腐った生ゴミが異臭を放つということは、ヤツらがビニールを食いちぎり、

中の廃棄される食料ゴミを漁っているということに他ならない。

野犬や野良猫でさえヤツらのテリトリーには入れない。

もちろん攻撃の対象になるからだ。


ニオイに敏感な私は、もちろん異臭のする道を選ぶはずもなく、裏道を選択し

早足で駆け抜けた。

いつも通る道を左に見ると、やはり想像通り大きなゴミ袋が食いちぎられ、

中の廃棄物が道一杯に散乱していた。

「酷いな」と呟いて私は駅の方へ歩を進めた。駅の50m手前にも八百屋の前の

ゴミ袋がこじ開けられ、同じように散乱していた。

ゴミを避けるように歩こうとアスファルトに気を取られたのが私の失敗だった。


下北沢にて

黒い狙撃手③

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仕事から帰ってタバコを吹かすためにベランダへ出ると、案の定2度目の

警告である弾痕が手摺りにべったりと張り付いていた。

勢いよく44肛径(口径)をぶっ放したものであるから、壁面、窓ガラス、

エアコンの室外機にまで弾痕は及んでいた。

むかつく気持ちを抑え、飛び散った弾痕は綺麗に拭き取ったが、流石に

手摺りの実弾は手が出なかった。大雨に流されていくのを待つしかない。


今や下北沢のアスファルトは、戦場さながらにヤツの、イヤ、ヤツらの

度重なる空爆によって酷い有様となっている。特に電信柱のケーブルが入り

混んだ十字路や歩道は酷い様相を呈している。

これも雨が洗い流してくれるのを待つしかない。

信じられないのなら、下北沢駅周辺や本田劇場回りを見てみるといい。


実は2度ほどヤツが空中から街ゆく人達を狙撃する現場を、偶然にも目撃した

ことがあり、それ以来、空中戦は疎か武器さえ持たぬ私としては、知恵を働か

すしか対応することが出来ない。と悟ったのである。

つまり下北沢の街を移動する際には、ヤツらの弾痕が著しく激しい道は極力

避けるという単純な発想だ。


これはヤツらが稼働する曜日や時間帯も、私はある程度把握しており、

「君子危うきに近寄らず」の格言が示す通り、敢えて危険を冒さないという

鉄則を守ることの他に手立てはないし、また、他の方法も見当たらない。

一度撃退した自信のある私は、ヤツらが集中して空爆するエリアを注意深く

通過する。或いは通らないということだ。

「ざまぁみやがれ」


下北沢にて

黒い狙撃手②

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その時は不意にやって来た。

午前中からの雨で傘を持って出た私は、渋谷での所用を済ませ帰宅途中、

いつも歩く茶沢通りではなく、一本裏の通りを歩いていた。

閑静なマンションの回りに巨大な大木が鬱そうと繁り、季節毎にウグイス

やホトトギス、ムクドリなどが棲息していたりする、都会の自然を堪能

できるお気に入りの裏道だ。


既に雨は上がり、緑蒸す雨上がりの空気を楽しみながら歩いていた私は、

前方の空中を滑空しながら猛スピードで突っ込んでくるヤツの影を見た。


その一本道を低空で飛ぶヤツは、明らかに私を狙っていた。

私は咄嗟に、ぶつかる瞬間、右手に持っていた傘の先端をヤツに向け、

ワンタッチで開く傘のボタンを押した。

「バスン!」鈍い乾いた音とともに、私の右手に結構な衝撃を感じた。

開いた傘は跳ね飛ばされ、後方を振り返るとバランスを失ったヤツの姿が

上空に消えようとしていた。


すんでの所で難を逃れたが、ヤツは私を威嚇するために地上2mの低空を

滑空し、襲ってきた。近くにヤツのアジトがあることは薄々感づいてはいた

のだが、常日頃からヤツの存在に怯え、空を見上げて歩くつもりはさらさら

無い。

「ざまぁみやがれ」

初戦は私の勝ちだ。

しかし、これがヤツの怒りを更に掻き立てることになった。

アスファルトに先程の衝撃で抜け落ちた黒いマントの切れ端が3枚ほど

散っていた。


下北沢にて

黒い狙撃手①

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警告は既に半年前に遡る。

仕事から帰った私は、いつものように黒い遮光カーテンを開け、

ベランダに出て煙草に火をつけようとした。

視界に写る景色に微かな違和感を覚えて目を凝らした。

落下防止の鉄柵に鶯色と白が混じった弾痕が刻まれていたのである。

現在それは、既に風雨に晒され跡形もなく消え去ったが、思い起こせば

最初の警告だったのは明らかだ。

そして更に2ヵ月遡るあの秋の終わりに、私が狙われることとなった

発端があるのである。


窓の外に顔を向けると、ベランダから5m程の電信柱の先端にヤツは

佇んでいた。「これは願ってもないチャンス」と思った私は、いつも

机の傍らに置いてあるデジカメを携え、連射モードに切り替えて音を

立てぬよう細心の注意をはらい、ゆっくりとガラス戸を引いた。

ヤツは気付いていない。

黒いカーテンから黒づくめの私は、ヤツの目に映らないはずだ。

慎重にレンズを向けてシャッターを押した。

その連射シャッター音に気付いたヤツは、私に一瞥をくれると、マントを

開いて舞い上がった。

「しまった!」私は心の中でそう呟いた。

シューティングした画像は手ブレをおこしていて使い物にならなかっただ

けでなく、6枚の中の1枚だけヤツの目線がレンズの奥の私の目と合って

いた。「私の顔はヤツに覚えられたかもしれない」その不安は的中した

ようだった。


下北沢にて

エビの呪い

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レコーディングが終了し、各自機材を片付け、

グレート成田号に積み込んで帰る間際、

中野テルヲ氏のUSTREAM配信に映っていた

エビの呪いにより、小西氏がエビの様に丸まってしまった。

というワケではない。


自分の大きなスーツケースの中に、自らが入れるかどうかを

シミュレーションしているだけである。

レコーディング中にワイン1本空けて、

「何故か全然酔わへんな〜なんでやろ」

と宣っていた当人であるが、

こういった茶目っ気を見せるということは、やっぱり

酔ってるやん!


小西氏はまた今週末よりドイツへ旅立つ。


下北沢にて

Blue Tokyo Tower

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昨日は夏らしく、梅雨の合間の蒸し暑い一日であった。

湿度に対して虚弱な私としては、日中は自宅に引き籠もり、

夕方昨日は夏らしく、梅雨の合間の蒸し暑い一日であった。

湿度に対して虚弱な私としては、日中は自宅に引き籠もり、

夕方から外出するというパターンになる。


神谷町のスタジオには18時30分を回った頃に向かったのだが、

今日が参院選の選挙ということもあり、恵比寿の駅西側では

民主党の必殺仕分け人こと蓮舫議員が最後の街頭演説を行うと

いうことで凄い人集りが出来ていた。まるで野外フェスのノリだ。

先週に投票を済ませている私は、それを横目で見ながら日比谷線へ

向かう。


スタジオでは既に音づくりは佳境に入っており、メンバー、スタッフ、

ゲスト入り乱れての賑わい。

通常ならスタジオという閉塞的環境のため、4-Dのレコーディングは

緻密でナーバスという感じに受け取られそうだが(普通はそうなんです

けどね)、意外とそうではない。

オヤジギャグはバンバン飛び交っている。

Twitterで実況を楽しんで頂いた方なら既にご存じだと思うが、

会話や曲名に何でもかんでも「なう」をくっつけて面白がったり、

中野テルヲ氏のUSTREAM配信「打ち上げ」映像を観ながら、小西氏が

中井氏にTwitter上で突っ込みを入れたりと、悪ふざけ三昧。

かく言う私もあのエビ映像を小暮氏の横で見ながら、中井氏の関西人

としての魂を感じずにはいられなかった。

2度目のエビ映像配信においては、わざわざその映像を配信するために

新たに大量のエビを注文したのではないかと思うほど、エビだった(笑)。


途中全員で晩御飯を食しにスタジオ近くのロイヤルホストに出向き、

「夏にはカレーやな」の小西氏の一言で何故かカレーの注文率が

異状に高かった。そんな中でも和食党とお見受けする横川氏は和食御膳

をたのんでたな。


写真は食事帰りでスタジオに向かう途中の視界に入った東京タワー。

東京タワーの右上に光っている小さな光はUFOね。


今回のレコーディングテーマは「水」「夏」「海」「磯」

「ほんとかよ〜大丈夫なん?」と京都から支持を出してくるスタッフの

Iちゃんの声が聞こえてきそうである。


下北沢にて

DENKMALを待て!

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さて、いよいよニューアルバムの制作も佳境に入ってきた。

一般的には発売日が2ヶ月後に迫っているのにまだ制作段階なのか?

と思われる方も多いと思うが、4-D mode1は、まだまだ作っている

最中なのである。

それが我々のスタンスだ。

9月12日までに間に合えばそれで吉。


もともと既存のマーケットから外れた存在なのだから、定石が

当てはまらないのは今に始まったことではない。

27年前からそこは変わってはいない。


ということで明日明後日は3人集まって行うレコーディングの

最終2日間。

一旦お蔵入りしていた曲も大胆にアレンジやリズムが変わるかも

知れない。そしてそれは、あの3人にしか判らない。


そのようなバンドが一つや二つあってもいいのだ、と思う。


4-Dには、常に実験的要素がまとわりついてくる。

これは、4-Dのレーゾンデートルの一端かも知れないと、

最近気付いた。←(「今頃〜」、という突っ込みは止めて欲しい)


多彩なゲストとオーディエンスからいただいた「音」がどのような

化学変化を起こすのか!  乞うご期待!


時間とやる気があれば、スタジオでの画像もアップしますからね。


下北沢にて

7/5

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4-D Elements −PUBLIC SENSING−

楽しんで頂けましたでしょうか?

前回からバージョンアップした実験場の様子は、

スタッフの尽力のおかげで、USTREAM配信・4-D Twitter立ち上げと、

いつもとは違った楽しみ方も出来たようで、会場に来れなかった方には

少しは実験の模様をリアルに感じて頂けたのではないでしょうか。

写真はコバヤシタケル氏。

彼の作り込んだプログラムが今回の実験演目中心として機能しました。

このようなインタラクティブ表現もあるんですね。

サイリウムでしたっけ?こういった使い方は面白いね〜。

↑オーディエンス側ね。


お天気はさほど心配することなくすみましたが、ご来場くださった

皆さん、ありがとうございました。

また、UPLINKのスタッフの皆さんありがとうございました。

そして、いつもビデオ撮影や物販・配信などの裏方として支えてくれて

いる我がスタッフに重ね重ね多謝。本当にありがとうございました。


私はというと、仕事の都合で開演後2030分してからようやく会場入り。

折からの湿度と睡眠不足で半ばヘロヘロの状態でした。

翌日(昨日)も6時起きで深夜25時帰宅というハードスケジュール。

このままじゃ身体が保たんよ。

とか言いつつ、デザインの制作も遅れ始めた。チトやばいな。


次はmode1が動きますので是非是非お楽しみに。


下北沢にて