2009年2月アーカイブ

廃刊

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今日「エスクァイア日本版」が休刊するという記事が出ていた。

数日前には「月刊プレイボーイ」、ギャル系雑誌「Cawaii!」が

休刊するというニュースもでていた。

そのほかに、今年に入ってからだけでも、

「月刊現代」「月刊KING」「読売ウィークリー」「NIKITA」

「Title」「論座」「主婦の友」…等が休刊するらしい。

大人の生活提案型、ギャル系、社会派系、写真週刊誌、エルダー

世代向け、読み物系、ファッション系、アラサー・アラフォー向け

女性誌など、すべてのジャンルにおいてその傾向が加速し、果ては

漫画雑誌までが消えていく。

この数年、雑誌(週刊誌・月刊誌)はどんどん少なくなって、

職にあぶれるエディターやエディトリアル系デザイナーが増え

ている。

ほとんどが、インターネットや無料で配布されるフリーペーパー

に取って代わられ、情報を丸抱えせず、チョイスすることに慣れて

きたエンドユーザーのニーズに対応できなくなってきたことが、

根本的な原因であろう。


チラシやフライヤーと替わらないタダのフリーペーパーが、情報源

として有料紙と大して採れる情報が変わらないのなら、もちろん

エンドユーザーはタダの方がいいに決まっている。

そして衰退してしまう一番大きな要因は、スピードの遅さにある。

ネット情報で発信されるスピードと2週間〜2ヶ月情報が遅れる

雑誌とでは、既に勝負にならない。情報が古いのだ。


雑誌の良さは、コンセプトを積み上げてしっかりとした取材の上で、

時間をかけた、きちんとした視点の情報を提供することであるが、

エンドユーザーのニーズはもう其処にはない。

悲しい文化の衰退化かもしれない。


いわれてみると、自分も全く雑誌を買わなくなって10年近くになる。

おそらく買うのは年2冊もないだろう。

ネット情報が総て正しいわけではないし、事象における俯瞰したもの

の見方や視点を持てるとも限らない。

要は個人の能力に委ねられてしまう範疇が極端に増大していくという

ことだ。

「休刊」ということだが、おそらく事実上の「廃刊」なんだろう。


下北沢にて

アカデミー賞受賞

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今日ハリウッドでの「第81回アカデミー賞」で

滝田洋二郎監督「おくりびと」が外国語映画賞、

短編アニメーション賞を加藤久仁生監督の

「つみきのいえ」が見事に受賞した。


日本固有の文化を題材にした、淡々とした作品や、

入念に作り込んだ社会性の垣間見えるアニメーションが、

莫大な予算を湯水のように浪費し、CG一辺倒の

ハリウッドに楔を打ち込んだというのは、非常に面白い。

自らの文化を対象化し、其処に妙味を醸し出した発想と

スキル、アイディアと粘り強さの賜だろう。


感動を導き出し、記憶に刻みつけられる映像は、やはり

ストーリーが秀逸だからだろう。

強いテーマとテーゼ。

それは言葉を超えるという一つの事例だろうと思う。


奇しくもひょっとこは、本日海を渡ってホワイトハウスに

尻尾を振り(金の無心をされ)に行ったが、春には辞める

死に体の総理に、バラク・オバマは何を無心するのだろ

うか?まぁ、そんなこたどうでもいい。


兎に角、映画好きの私としては日本の映画作品のポテン

シャルとクオリティ、そしてスキルと発想に拍手を送り

たい。

おめでとうございます。


下北沢にて

Sound & Vision 2/28 at tray

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Sound & Vision 2/28 at tray


学芸大学trayにて、恒例Sound & Visionが

今年初めて行われる。


横川理彦×首藤幹夫

2009/2/28(sat)

open 17;30

start 18:00

Fee   ¥1,500


既にご存じの方も多いと思うが、学芸大学trayが

春に移転する。

4-Dは、trayにひとかどならぬ恩恵に与っている。


そういったことから、移転までに、あのスペースで

何かやってみたいと昨年末から考えている。


ということで、学芸大学trayでのSound & Visionは、

今回で最後かもしれない。

出来ればもう一回、4月頃にでもやってくんないかな〜。


下北沢にて

Theo Jansen〜砂浜の生命体

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今日は初夏と思えるほどの陽気・快晴。

冬の装いで街中は歩けない。ということで、

Theo Jansen(テオ・ヤンセン)展 〜新しい命の形〜 を見に

日比谷パティオまで行ってきた。


物理学を学んだ芸術家Theo Jansenは、プラスティックチューブや

ペットボトル、ゴム、板材等の廃材を作品材料として使用し、その

作品たるや自然の風力に因って自走するという、前代未聞の現代芸

術家である。

最近TVにも良く取り上げられ、彼の巨大作品が人工的な動力源無

しにただっ広い砂浜をガシャガシャと走り回ったり、歩いたり、

這いずり回ったりしている様をご覧になられた方も多いと思う。

私も数年前に、彼の作品が走っているのを映像で見て驚愕したクチで

ある。

「人工的な動力無し・廃材を利用した作品」ということで、彼の作品は

得てしてエコのメッセージがどーたらこーたら、地球環境に云々堪々……

とよく謂われがちだが、はっきり言ってそんなこたぁどうでもいいので

ある。彼の作品の本質とはかけ離れた一般評論に辟易とする。


見れば判るが、彼の創る巨大な恐竜・甲殻類・昆虫の骨組みみたいな

作品は、風力に因って生き物のように自走する。生命としての動力が

無いのにもかかわらず、創造主である彼の意志とは関係なく動く。

この点に全ての魅力が集約されているのではないか。


物理学とコンピュータでの解析によって創られた理論を、アナログな

手法で、気が遠くなるような時間をかけて丁寧にこつこつと組み上げ

作り込んでゆく。19年間、自分の理論に基づく生命体のような作品を

組み上げる。なるほど、面白いワケだ。頭が下がるというか、ヤられ

ちまったよって感じ。発想と視点が素晴らしい。


展覧会場で、私も作品を動かした(誰でも動かせる作品がある)のだが、

すごく軽量で小学生の女の子も楽しそうにガシャガシャやっていた。

動くときの音も良い。

写真のチラシの中央に写っているのが作品(判りづらいけど)で、実際

動くのを見ると思わず感嘆とどよめきに似た声が上がる。


Theo Jansen自身がこの世から消えてしまったとしても、彼の創った

アニマリス(ビーチアニマル)が動き続ける事が夢なのだそうだ。

作品カタログとDVD。買わなきゃしょうがないでしょ。


下北沢にて

TJチラシ.jpg

Jegog

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てことで、再度近所のディスク・ユニオンへ本家本元のキンクス版

「ユー・リアリー・ガット・ミー」を買いに行った。

餌棚をいろいろと見て回っていると面白いCDを発見!

インドネシア、バリのネイティブ・ミュージック「Jegog(ジェゴグ)」

が納められたCDを見つけたのである。

タイトルは「Jegog of Negara」

Negara(ヌガラ)とは"現地"という意味だそうで、もちろんバリを指し

ているのは云うまでもない。


そもそも「Jegog(ジェゴグ)」とはバリ島に伝わる伝統音楽で、この

地方で原生している巨大な黒い竹で作られたマリンバ的・木琴的打楽器の

事を「Jegog」と呼び、その演奏そのものもまた「Jegog」と呼ぶ。

「Jegog」の演奏の特徴は、高音階・中音階・低音階を担当する奏者が

それぞれ3〜4名ほどおり、約10〜12名で一つの楽団(オーケストラ)

として演奏するのだが、そのオーケストラはステージ上に2つ、左右に

同じ編成のオーケストラが上る。そして一番面白いのは、左右それぞれの

オーケストラが相手を叩き潰すかのように音の塊を互いにぶつけあい、

リズムを撃ち続ける事にある。

この演奏形式を「ムバルン」と呼ぶらしい。所謂「対決する」という意味

にあたる。

それぞれのオーケストラはバリの山岳に村のある村民が、その村ごとに

オーケストラを組んでいるということだ。


私が「Jegog」に出会ったのは1994年の晩秋だったと記憶する。阪神大

震災の二月ほど前だ。自宅からてくてく歩いて神戸摩耶埠頭の巨大な空き

倉庫に行くと、既に500~600百人の観客で倉庫は人集りが出来ていた。

最初は女性が踊るガムラン的なダンスが20分ほどあり、それが終わると

左手にオーケストラが一つ出てきて演奏し、入れ替わりに右手に現れた

オーケストラがそれぞれ20分くらい演奏する。

そしていよいよ「ムバルン」が始まる。甲高く細かくメロディを刻む高音域、

リズムの核となり、またフレーズのループの中心となる中音域、そして、

会場となる倉庫の大空間をねじ伏せるかのような重低音。それらがさざ波

から大きなウェーブとなり、やがて大津波となるかのような展開。もちろん、

オーケストラどうしの牽制の仕合やリズムのつぶし合いも面白い。

そのようなフルスロットルの演奏が1時間は続く。奏者の中にはトランス状

態に陥り、一人二人と崩れ落ちるかのように意識を失って倒れるものも数名。

未だかつて、これほど鳥肌が立ちっぱなしの演奏というものには、早々お目

にかかれていない。

CDではあのインパクトと重量感を再現するには音域が全く足りない。

しかし、自分の記憶を膨らませて聴く分には何ら問題はない、素晴らしい

演奏のCDだった。


しかし、肝心の「ユー・リアリー・ガット・ミー」はというと…

ライブ演奏を納めたものしか売ってなかったので、結局買わず終い。

これはやっぱりスタジオレコーディングが聴きたいんだよな〜。


下北沢にて

You Really Got Me

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最近TVCMで「ユー・リアリー・ガット・ミー」が流れていた。

知る人ぞ知る「キンクス(Kinks)」の名曲。

キンクスといえば、レイ・デイヴィス、デイヴ・デイヴィスの兄弟が

中心メンバーで英国のロックバンドとしては我々の世代の洋楽馬鹿では

知らない奴はモグリといわれても仕方がないほど名の通った有名バンド。


久しぶりに耳にすると、どうしても「ユー・リアリー・ガット・ミー」

をもう一度聴きたくなってしまった。

なので、思い立ったが吉日と、すぐ近所のディスク・ユニオンへ買いに

行ってはみたものの、音源の入ったCDが販売されておらなんだ。


「ユー・リアリー・ガット・ミー」はそのキンクスの代表曲で、国内外

の星の数ほどのいろんなバンドが演奏しているし、カバーしている曲で、

つとに有名なのはヴァン・ヘイレンの1stでのカバーが有名だが、個人

的に気になるのはカルト(確か、昔はサザン・デス・カルトってポジ

ティブパンクのバンドだったような気がする)がカバーしていたバージ

ョンが何か記憶に残っていて、それをどうしても聴きたい。

で、調べてみたら、カルトのアルバムにはこの曲はカバーされていないし、

演奏していた気配も無いようで…。

ということは、私の勘違い?かもしれん。

う〜ん、何か釈然としないな。

地道に探してみますか。


下北沢にて

なんだかな〜

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不況の折、T Vではお金とクイズと雑学とお笑い芸人と美味いもの

巡りで溢れている。これが今押しつけられている世相であり現実だ。

ニュースでは100円が1,900万円になる馬券が当たったとか、雀の

泪ほどの給付金が決まったとか、消費税率を上げるとか、金金金である。


ニュースが終わると宝くじのCMが流れ、雑学クイズ番組でお笑い芸人達

が雛壇の席から立ち上がって指さしながら大袈裟なリアクションを映像

向けに採っている。音を消しているので、彼等が何に対してそのような

大仰なアクションをおこしているのかは定かではないが、もう既に嫌と

言うほど見慣れたシチュエーションである。

リモコンでチャンネルを換えると、別のニュース番組をやっていて、

ひょっとこ総理が野党の議員に詐欺師呼ばわりされたと憤慨している様子

が映し出されていたが、言われる方も言われる方だが、言う方も言う方である。

ほんとに「なんだかな〜…」って感じ。


私達は皆、おとなしく理知的であり、また、60年代後半の学生運動失敗

(大学を封鎖したり、デモ行進したり、警察や機動隊と戯れたりするやつね)を

映像で学んでいるから、怒りというものを具体的な”何か”にぶつけたり、具体

的な暴力をもってしてそのことに当たったりしない。

分かり易い言い方に換えれば「楽観的」であり「享楽的」なのかもしれない。

そういえば学生の頃私達の世代は「しらけ世代」だの「新人類」だのと、私の

嫌いな団塊の世代に上目線で蔑まれた記憶がある。

その上目線で私達を見ていた連中の子供達がボジョレーだ、ドンペリだとお立

ち台に上っていたバブル世代である。

言い方は悪いが、「多数決の論理」「数の論理」で強引に攻められた印象しか

ない。

マーケティングの世界では、その「数の論理」の2世代が一番狙われているのは、

誰もが知っている周知の事実。

ほんとに「なんだかな〜…」って感じ。

因みに、ひょっとこは「火男」と書くらしい。多分クチから嘘ではなく炎を

吐くのだろう。


下北沢にて

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