Jegog
てことで、再度近所のディスク・ユニオンへ本家本元のキンクス版
「ユー・リアリー・ガット・ミー」を買いに行った。
餌棚をいろいろと見て回っていると面白いCDを発見!
インドネシア、バリのネイティブ・ミュージック「Jegog(ジェゴグ)」
が納められたCDを見つけたのである。
タイトルは「Jegog of Negara」
Negara(ヌガラ)とは"現地"という意味だそうで、もちろんバリを指し
ているのは云うまでもない。
そもそも「Jegog(ジェゴグ)」とはバリ島に伝わる伝統音楽で、この
地方で原生している巨大な黒い竹で作られたマリンバ的・木琴的打楽器の
事を「Jegog」と呼び、その演奏そのものもまた「Jegog」と呼ぶ。
「Jegog」の演奏の特徴は、高音階・中音階・低音階を担当する奏者が
それぞれ3〜4名ほどおり、約10〜12名で一つの楽団(オーケストラ)
として演奏するのだが、そのオーケストラはステージ上に2つ、左右に
同じ編成のオーケストラが上る。そして一番面白いのは、左右それぞれの
オーケストラが相手を叩き潰すかのように音の塊を互いにぶつけあい、
リズムを撃ち続ける事にある。
この演奏形式を「ムバルン」と呼ぶらしい。所謂「対決する」という意味
にあたる。
それぞれのオーケストラはバリの山岳に村のある村民が、その村ごとに
オーケストラを組んでいるということだ。
私が「Jegog」に出会ったのは1994年の晩秋だったと記憶する。阪神大
震災の二月ほど前だ。自宅からてくてく歩いて神戸摩耶埠頭の巨大な空き
倉庫に行くと、既に500~600百人の観客で倉庫は人集りが出来ていた。
最初は女性が踊るガムラン的なダンスが20分ほどあり、それが終わると
左手にオーケストラが一つ出てきて演奏し、入れ替わりに右手に現れた
オーケストラがそれぞれ20分くらい演奏する。
そしていよいよ「ムバルン」が始まる。甲高く細かくメロディを刻む高音域、
リズムの核となり、またフレーズのループの中心となる中音域、そして、
会場となる倉庫の大空間をねじ伏せるかのような重低音。それらがさざ波
から大きなウェーブとなり、やがて大津波となるかのような展開。もちろん、
オーケストラどうしの牽制の仕合やリズムのつぶし合いも面白い。
そのようなフルスロットルの演奏が1時間は続く。奏者の中にはトランス状
態に陥り、一人二人と崩れ落ちるかのように意識を失って倒れるものも数名。
未だかつて、これほど鳥肌が立ちっぱなしの演奏というものには、早々お目
にかかれていない。
CDではあのインパクトと重量感を再現するには音域が全く足りない。
しかし、自分の記憶を膨らませて聴く分には何ら問題はない、素晴らしい
演奏のCDだった。
しかし、肝心の「ユー・リアリー・ガット・ミー」はというと…
ライブ演奏を納めたものしか売ってなかったので、結局買わず終い。
これはやっぱりスタジオレコーディングが聴きたいんだよな〜。
下北沢にて
