2009年11月アーカイブ

半世紀少年少女

|

帰省した折、たまたま都合よく卒業高校の同期同窓会が催され、

30年振りに、同期生に会う機会に恵まれた。

130人近く集まったのだが、その中で顔と名前が一致した同級生は

40人に満たなかった。

何せ半世紀近く生きてきた中で、共に過ごした時期は僅か3年程で

あり、多少の面影は残っているものの、クラスが違うと全くといって

いいほど思い出せないし、記憶を呼び起こすのに苦労した。

初めは知らない人達が集まったパーティーの様な微妙な空気があった

のだが、しかし、時間と共に何か懐かしい、1970年代後半の熱さが

自然と戻ってきて不思議な感覚に陥った。

自分の名前やニックネームで呼んで来る同級生に、やはり、一瞬

面食らうことが多々有ったのだが、会話の中に何かの共通項を見つけ

ると、それぞれの時間が急激に短縮され、埃を被って錆び付いていた

記憶の引き出しが、ギリギリと音を立てながら開いてくる。

概ね男性はメタボリックな体型になっており、「あぁ、歳くったなぁ」

と見えるのだが、女性は何故かやたらと若々しい。

時代だろうか?

半分以上は地元関西に居住しているようだが、東京を含め、かなり

あちらこちらに散らばっている。今回の同窓会に出席しなかったら、

もう、二度と会えない人もいるかもしれない。そう考えると、何か

感慨深いものが胸に去来したのは私だけではなかったはずだ。


自分の人生の執着地点がそこそこ見え始める年齢になるということは、

その終着地点を予測予期し、後に何を残すのか、何を抹消していくの

かということを、考えていかねばならないということに他ならない。

とはいうものの、学生当時憧れていた女性に「お元気そうで」と声を

かけられた時には、あろう事か、不覚にも狼狽えている自分がそこに

いた。「あぁ、俺ってつくづくバカだなぁ」と心の中で呟いた。


下北沢にて

|

前述の「地球と食の映画祭」で、中島莞爾監督作品「箱」をレイトショーで

観た。以前から噂だけ聞いていて非常に気になっていた作品だったので、

「南極料理人」に続いて観たわけであるが、何とも摩訶不思議な世界観の

シュールな作品だった。基本的に私の好みで、極端にコントラストの強い

モノクロ映像で、出演している俳優さん達も全く知らない役者ばかりである。

海外での評価が高く、しかしながら日本での国内配給はなかなか難しいのだ

ろうと思う。

しかし、先読みのし辛いストーリーや極端に台詞の少ないその物語の中で、

一番存在感を示しているのがタイトル通り「箱」なのである。

箱の中に機械と共に納められている「鉱物」の”想い”とは何なのか。

まぁ、これ以上書いてしまうとこれから観ることがあるであろう方にネタを

ばらすことになってしまうので割愛するが、人がもたらす文明の本質的な

役割を静かに示唆してくれているように思う。

兎に角そのコントラストの強いモノクローム映像は、美しくまた荒々しく

私の心の中に根を張ったのである。


何処の世界なのか、いずれの時代設定なのかは全く関係なく、

その描かれる世界というのは、ロシア映画の名作、ゲオルギー・ダネリア監督

の「キン・ザ・ザ」や、ダーレン・アロノフスキー監督の「π(パイ)」、

或いは、ジャン・ピエール・ジュネ監督のデビュー作「デリカテッセン」

はたまた、畑は違うが関西の「維新派」などのアナザーワールド的世界観に

通じる、サイエンスフィクション的異次元映像が心地良い。

なかなか観ることが叶わない作品かもしれないが、何処かでチャンスに恵ま

れることがあれば、是非見てもらいたい作品の一つである。


ヴィム・ヴェンダースがエグゼクティブ・プロデューサーで名を連ねる

中島莞爾監督作品の「クローンは故郷をめざす」が、2010年1月18〜23日

の間、下高井戸シネマにてアンコールレイトショーされるようである。

私はまず間違いなく観に行くであろう。


下北沢にて

南極料理人

|


地球と食の映画祭.JPG


























土曜日、幻燈写真ツアーの打ち上げで、映画監督・プロデューサーでもある

高遠瑛氏と話をする機会があり、たまたまその日が、氏が企画制作に係わって

おられる「EARTH FILM FESTA 地球と食の映画祭」の初日だった

そうだ。

戴いたパンフレットには、興味をそそられる作品がずらりと並び、食指が動いた。

このイベントは下高井戸シネマでの映画作品上映を中心に、食にまつわる映画という

ことで、「映画のごはん」なるものが、下高井戸・下北沢・三軒茶屋の26店舗にも

及ぶ飲食店でそのレシピを喫食できるという、なかなかに面白い企画を実現している。


ということで、昨日の日曜日、夕方から下高井戸に映画を観に行った。

まずは「南極料理人」を観た。これが非常に面白かった。

8人からなる南極観測隊(野郎ばかり)の置かれた環境というのは、昭和基地から

600㎞内陸に入った、ペンギンやアザラシどころかウイルスさえ存在しない零下

マイナス50〜70℃の極限状態における400日を超える生活を、コミカルなタッチで

時にブラックなジョークを織り交ぜ、食事をすることだけが日常の楽しみでしかない

人達の軽い狂気を孕んだ生活を描いている。

20代〜40代の男が8人、仕事とはいえ南極の高地(富士山より標高が高い)に閉じ

こめられ、家族から離れ、常に生命の危機に晒されているという状況の中、女性も

いなければ動物もいないという、いかにもつまらない日々を、少しずつ軋みながら、

少しずつ狂いながら、それでも自己を何かに委ね、踏みとどまろうとする姿が切なく、

また、有り余る自由の残酷さを感じさせる作品として仕上がっていて面白い。

視点が面白いんだろうね。

この作品は前から見たかったので期待していたが、その期待以上に面白かった。

何故か身につまされる部分もあり、映画を観て笑うと云うより、観ている自分を

嗤うといった感覚が強かった。

ところで、1億円積まれても、南極には絶対行きたくないね。


下北沢にて

オオイタンニッキ

|

幻燈写真ツアー(Photographic Magic Lantern Tour)

にお招き頂いた。


写真家である首藤幹夫氏のスライド映像にシューヘイ氏が音をインサート

していくという形式で、首藤氏はそれを幻燈写真と呼んでいる。

今回のツアーには計5作品が上映された。これまで数度にわたって首藤氏

の投影作品は拝見しているが、その中でも「オオイタンニッキ」という

タイトルの作品が、私には強く印象に残った。

写真は映画や動画に較べて画(絵)を説明したりしない。瞬間を切り取る、

或いは状況を焼き付け定着させることによって観る者の想像力を掻き立て

る。つまり、観る側に想像力や理解力、解釈するための組み立てる能力が

なければその良さを感じることは出来ない。


シューヘイ氏が紡ぎ出す音は映写される作品に合わせ、映写されている

作品は首藤氏が原体験したであろう一つの郷愁と現実を行ったり来たり

する。やがてそれは写真ではなく、ストーリーを持ったロードムービー

(いやロードショットというべきか?)に変化し、内に入ってくる。

年末から年始にかけて、大分での日常と人の関わりがそこに柔らかく、

また、自然に映し出されている。素晴らしい出来だと感じる。

本日も同じここ下北沢で公演される。

大阪は来週だそうだ。

是非見に行ってほしい。


下北沢にて


幻燈写真ツアー(Photographic Magic Lantern Tour)

11/15(日)

東京【下北沢ラ・カメラ】 open 16:30 / start 17:00


ゲスト/お目当て: 首藤幹夫

料金:1500円

下北沢 LA CAMERA

東京都世田谷区代沢 4-44-12 茶沢通りビル 2F

電話 03-3413-9422

[1] 下北沢駅南口を出て、階段を降りた方向にそのまま南口商店街を進む。

[2] 茶沢通りに合流してさらに直進。信号を3つ越えた先、右手のビル2階。駅から徒歩12分。

関連/参考URL

11/20(金)

大阪【大阪造形センター】 open 18:00 / start 19:00

ゲスト/お目当て: 首藤幹夫

料金:2000円(1ドリンク付き)

関連/参考URL


11/21(土)

大阪【大阪造形センター】 open 18:00 / start 19:00

ゲスト/お目当て: 首藤幹夫

料金:2000円(1ドリンク付き)

関連/参考URL


雨と影とゲシュタルト崩壊

|

昨晩、渋谷UPLINK FACTORYに、坂本宰の影「モノローグ」を

見に行った。井の頭線 神泉駅からてくてくと東急本店を横切り、

霧雨で煙る繁華街のはずれに近いこ洒落たカフェ・ギャラリー併設の

多目的スペースへ向かった。

カウンターで受付をしようとしていると、客人の中に手を振る人物が

いる。Aufhebenのギタリスト、シューヘイ氏だ。

影が現れるまでこそこそと二人で歓談していると不意に照明が落ちて

いく。空間に貼られた白幕に水滴が映し出され、時間と共にそれは

次第に形を変えていく。そして映し出されている水の塊は、水銀の様

にも見え、時として得体の知れない生き物が蠢くような動きをする。

既に私が認知している「水」ではなくなる。意識がそれを「水」として

認識しなくなっていく過程が自分の中にリアルに解る。

一種の「ゲシュタルト崩壊」のようなものである。

光が点滅し、坂本宰の影がその陰影に息づき始めると、それは更に強く

なり、影は影の認識から乖離していく。

照明器具のふれあう金属音や接触音が、やたらと乾いた響きをランダム

に奏で、白幕に投影されている影は”坂本宰”から遊離し、”坂本宰の影”

として人格を形成し始める瞬間、空間は闇に紛れる”坂本宰の影”のオー

ガナイズする空間に変換される。

見事なものだ。この”感覚”に私は魅了されている。

日常積み重ねられた情報によって認識しているハズの感覚が微妙なズレ

を起こし、自らが認知しない”何か”にすり替わっていく感覚。

この感覚が楽しく面白いのだ。


パフォーマンスが終演し、坂本宰氏と軽く挨拶を交わした後、霧雨に

煙る街に出た。

夜の渋谷に溶け込んだ”坂本宰の影”は、容易なことでは見つけ出せない

であろうが、バーボンでもヤリながら自分の中の「ゲシュタルト崩壊」

を楽しむことにしよう。


下北沢にて

オムライスその2

|

091028オムライス.jpg















で、こっちがmode1が出演したときのオムライスね。

美味そうでしょ。

でも私は喰えなかったんだよ。

翌日早くから仕事だったもんで。

残念!!


下北沢にて

DT2010オムライス

|

DT2010-091111オムライス.jpg
















無事DT2010全プログラムが終了したと、小暮氏から

連絡をいただいた。

まるまる一月間、有に100を越すバンド・ミュージシャンの

出演するイベントを切り盛りするなど、私などには到底想像も

及ばない作業だ。恐れ入る。

おそらく、予測もつかないトラブルやハプニングが多発したに

違いないだろうと察するのだが、そういったものも全てひっくる

めてライブなのだと思う。そういった「零れ話」は、また4-Dの

ミーティングで、氏にお会いしたときにでも聞かせてもらおうと

今から楽しみにしている。

掲載している写真は、イベント終了の打ち上げでLOFTのスタッフ

が作った巨大オムライスである。

この写真と共に、D-Dayが出演した11月4日打ち上げ時の写真も

送って頂いた。

笑顔の写真なのでこれは掲載できない。


いずれにせよ、これでまた、語り継がれるイベントが終了したのだ。

ご苦労様でした。


下北沢にて

坂本宰の影「モノローグ」

|

sakamoto-kage-thumb.jpg


















秋と云えば名月と坂本宰の影。

彼がまた現れる。

今度は渋谷UPLINK FACTORYでのモノローグとなる。

楽しみだ。

静寂の中に現れる光と影のコントラストを是非楽しんでほしい。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

スクリーンに自己のシルエットを映し出すパフォーマー・坂本宰、

人呼んで「坂本宰の影」。

トーン、コントラスト、モーションのみで構成される一見シンプルな

ステージパフォーマンスは、映画史以前の視覚的試み、古来の影絵に

見る郷愁が時折顔を覗かせる。

それでいて歴史的背景とは孤立無援の殺風景に佇む黒いひとかげは、

ただ視る者に無言のモノローグを語りかける。


★坂本宰の影公式HP

http://web.me.com/sakamotoosamu/

□日時:11/13(金) 20:00開場/20:30開演

□料金:予約¥1,500(予約方法は下記を参照下さい)

   当日¥2,000(予約共に1ドリンク付き) 

予約方法

予約をご希望の方は(1)お名前、(2)人数、(3)住所、

(4)電話番号を明記の上、件名を「予約/坂本宰の影」として、

factory@uplink.co.jpまでメールでお申し込み下さい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

DT2010リポート1104

|

「不思議な旅人」と付けられたDT2010のイベント。

そしてD-Dayである。

D-Dayといえば川喜多美子氏である。

4-Dでもいろいろとサポートしていただいているのでお伺いした

次第である。現在の激務の都合上、開始から10分のところで

ようやく会場入りできた。けっこうな数のオーディエンスがいるにも

係わらず、スタンディングじゃなくて椅子が並べられていている?

来客には仕事を終え、慌てて来場してきた風の男性が多く、正面の

方へ回り込もうとしたのだが、ちょっと無理だった。

ステージが終わり小暮氏に所用をお願いした後、ヘキサマン氏に

声をかけられた。

Barステージへ行こうということになり、一杯飲りながら話していると、

そこへステージを終えた美子さんが。

しばし3人で歓談した後、楽屋へ戻った美子さんと入れ替わるように

ハッチャキ氏が合流。

熱くD-Dayを語るヘキサマン氏に引き寄せられるように岩下氏も合流。

40代のオッさんが集まって何を話していたかというと、「ザヤク&

ドラマー」という…オッとっと、この高尚な?ブログ上では決して公に

出来ない、とてつもなく面白い大爆笑のお話だったりするわけでして、

あれやこれやで御大成田氏が合流。

でも、バカ話ばっかりしてたわけではなくて、Barステージのパフォー

マンスもしっかり見ましたよ。


しかし、何ですな。この4週間の間に同じライブハウスに4回も行く

なんて初めてのことです。4-DスタッフのIちゃんやここを訪ねてくれてる

皆さんは日常的な事なんだろうけど、私にとってはなかなかできることで

はないので新宿詣でも新鮮だった。

新宿LOFTといえば、25年前にP-Modelとの対バンで移転前のLOFTに

4-Dのスタッフで行って依頼だもんねー。確か翌日は渋谷パルコパートⅡで

イベントだったよなぁ。モダン・コレクションVol.5か。

今夜は「A Style of Building」を聴いてから一日を終わらせよう。


下北沢にて

仮装行列

|

魔女、メフィスト、小悪魔風ゴスロリ、ミニスカのハチ、虹色アフロ、

金色アフロ、赤アフロ、青アフロ、赤いピエロ、青いピエロ、黄色いピエロ…。

昨夜下北の南口へ向かう商店街で出会った人々である。

普段この街では見かけない装いだ。

つまり、仮装しているわけで、ハロウィンなワケである。

まだまだこんなものじゃない。

ガチャピン、ムック、プーさん、←この辺は着ぐるみ…というより寝間着?

ジュリ扇ミニスカ、髭面もひかん男のセーラー服、山海塾風白塗り、

ともだち(20世紀少年のアレね)←この辺はウケ狙いだろうが…ハズしてるんでは?

ラムちゃん?サイヤ人?沖田艦長?←この辺まで来るとハロウィンじゃなくて

コミケちゃうの???

兎に角こういった類の仮装した男女が次から次へと擦れ違った。

何かイベントか、パーティー等が複数催されていたらしい。

駅近くまでいくと、

大声でマンガを読む男(漫読さん)、赤いティアラ風もひかん男、弾き語りの少女等

がいつものようにいたのだが、何故か普段よりも異彩を放ってはいない。

流石の彼等も、この仮装行列には影が薄く感じたのかもしれない。


まぁ、そのような仮装をして楽しそうな若者達を尻目に、知人と下北で最近噂に

なっているカレー屋さんへ行った。ここのカツカレーは¥1,500と少々値が張る

のだが、非常に美味い。

その後に馴染みのBarに呑みに行ったのだが、マスターにある雑誌を手渡された。

「NODE」という雑誌で、コンセプトは「アートと社会をつなぐビジネス

カルチャーマガジン」ということだ。

これまた、知人のエディトリアル・デザイナーがこの雑誌の数ページの記事と

広告のデザインを手掛けたので、私に見ておいてほしいと、今売り出されている

No.8をお店に預けていったらしい。

美しく洗練された雑誌で完全な大人向け。「あぁ、プロの仕事だな」と一目瞭然

の出来である。ほんとよい出来です。

そして私は知人が未だ読んでいない北方謙三版「水滸伝」の説明と解釈を延々と

しゃべり続けていた。

知人曰く、「読む手間が省けてええわ」


下北沢にて