半世紀少年少女
帰省した折、たまたま都合よく卒業高校の同期同窓会が催され、
30年振りに、同期生に会う機会に恵まれた。
130人近く集まったのだが、その中で顔と名前が一致した同級生は
40人に満たなかった。
何せ半世紀近く生きてきた中で、共に過ごした時期は僅か3年程で
あり、多少の面影は残っているものの、クラスが違うと全くといって
いいほど思い出せないし、記憶を呼び起こすのに苦労した。
初めは知らない人達が集まったパーティーの様な微妙な空気があった
のだが、しかし、時間と共に何か懐かしい、1970年代後半の熱さが
自然と戻ってきて不思議な感覚に陥った。
自分の名前やニックネームで呼んで来る同級生に、やはり、一瞬
面食らうことが多々有ったのだが、会話の中に何かの共通項を見つけ
ると、それぞれの時間が急激に短縮され、埃を被って錆び付いていた
記憶の引き出しが、ギリギリと音を立てながら開いてくる。
概ね男性はメタボリックな体型になっており、「あぁ、歳くったなぁ」
と見えるのだが、女性は何故かやたらと若々しい。
時代だろうか?
半分以上は地元関西に居住しているようだが、東京を含め、かなり
あちらこちらに散らばっている。今回の同窓会に出席しなかったら、
もう、二度と会えない人もいるかもしれない。そう考えると、何か
感慨深いものが胸に去来したのは私だけではなかったはずだ。
自分の人生の執着地点がそこそこ見え始める年齢になるということは、
その終着地点を予測予期し、後に何を残すのか、何を抹消していくの
かということを、考えていかねばならないということに他ならない。
とはいうものの、学生当時憧れていた女性に「お元気そうで」と声を
かけられた時には、あろう事か、不覚にも狼狽えている自分がそこに
いた。「あぁ、俺ってつくづくバカだなぁ」と心の中で呟いた。
下北沢にて