南極料理人
土曜日、幻燈写真ツアーの打ち上げで、映画監督・プロデューサーでもある
高遠瑛氏と話をする機会があり、たまたまその日が、氏が企画制作に係わって
おられる「EARTH FILM FESTA 地球と食の映画祭」の初日だった
そうだ。
戴いたパンフレットには、興味をそそられる作品がずらりと並び、食指が動いた。
このイベントは下高井戸シネマでの映画作品上映を中心に、食にまつわる映画という
ことで、「映画のごはん」なるものが、下高井戸・下北沢・三軒茶屋の26店舗にも
及ぶ飲食店でそのレシピを喫食できるという、なかなかに面白い企画を実現している。
ということで、昨日の日曜日、夕方から下高井戸に映画を観に行った。
まずは「南極料理人」を観た。これが非常に面白かった。
8人からなる南極観測隊(野郎ばかり)の置かれた環境というのは、昭和基地から
600㎞内陸に入った、ペンギンやアザラシどころかウイルスさえ存在しない零下
マイナス50〜70℃の極限状態における400日を超える生活を、コミカルなタッチで
時にブラックなジョークを織り交ぜ、食事をすることだけが日常の楽しみでしかない
人達の軽い狂気を孕んだ生活を描いている。
20代〜40代の男が8人、仕事とはいえ南極の高地(富士山より標高が高い)に閉じ
こめられ、家族から離れ、常に生命の危機に晒されているという状況の中、女性も
いなければ動物もいないという、いかにもつまらない日々を、少しずつ軋みながら、
少しずつ狂いながら、それでも自己を何かに委ね、踏みとどまろうとする姿が切なく、
また、有り余る自由の残酷さを感じさせる作品として仕上がっていて面白い。
視点が面白いんだろうね。
この作品は前から見たかったので期待していたが、その期待以上に面白かった。
何故か身につまされる部分もあり、映画を観て笑うと云うより、観ている自分を
嗤うといった感覚が強かった。
ところで、1億円積まれても、南極には絶対行きたくないね。
下北沢にて