黒い狙撃手⑤
「パシッ!」
静かなサイレンサーの微音とともに何かの衝撃を感じた。
私の左肩に、鶯色と白が混じった弾痕があった。
一瞬脳裏が真っ白になった。
「やられた!!う〜〜わ〜〜あ〜あ〜あ〜*+>$#」
後の祭りであった。
左肩を打ち抜かれた私は、屈辱と怒りを以て上空を見上げた。
10m程の高さの電信柱に、ヤツは佇んでいた。
ヤツは嘴の端を僅かに歪めて笑いながら飛び去った。
仕事へ出かける早朝の狙撃であった。
しばし茫然と立ち竦む私は、踵を返し自宅へ戻った。
歩いている最中から半袖の白いシャツを慎重に脱衣し、首筋辺りや
方の回りに弾痕が飛び散っていないか入念に調べた。
被弾した白いシャツは廃棄し、再度シャワーを浴び、着替えて鞄を持った。
屈辱!怒り!憤り!
さまざまな感情が駆けめぐる。
もちろんその日は仕事に集中なんて出来やしないのである。
これで1勝1敗。
やるかやられるか、ヤツとの暗闘はまだ始まったばかりである。
(Fin)
下北沢にて