盗作

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そう、上海万博の公式テーマソングの件だ。

ほぼ、丸ごとパクっているのは自明の理で、偶然でここまで似せると

いうのは逆に不可能であろうと推察する。他にも何曲も、メキシコや

韓国の曲をギっている札付きの作曲家ということが報道されている。

日本に精通している中国人がネットを通じて訴えたということらしいが、

それが本当なら、余程、自分の国に対して憤懣やるかたない、恥ずかしい

想いを持ったに違いない。

経済の発展においては加速度的な成長を見せる彼の国も、こと近代文

化におけるマナーやクリエイティビティにおいては半世紀前の日本の

レベルなのだろう。

これは、心(創造)と現実(経済)が乖離していることを如実に表している

ように見えて仕方がない。

どのような文化国家も、その創造性、そこに伴うスキルやノウハウを、

他の文化のまねごとから始めるのは避けられない。

文化というモノが数十年もの間、閉ざされていたのだから、急に世界

レベルのモノをクリエイトしろったって無理に決まっている。

彼の国は戦略国家であり、そのしたたかさには舌を巻く事も多いので

あるが、情報操作を国家レベルで行うということは、外面と内面を使い

分ける事が目的であるが故、Googleのいう開かれた情報などという概念

は、国家存亡に関わる許し難い価値観であり、ましてや彼の国の根底に

そのような理念は存在しない。


音楽に限っていえば日本の歌謡曲にもそういった盗作紛いのものは多々

あり、分かり易いところでいえば、●んくやB'●の曲なんかも、洋楽を

聴いていた身としては聴くに堪えないモノが結構あったりする。

海外に目を向ければ故ジョージ・●リスンや●ティングの曲だって、

そういったモノがあるくらいだ。

先に創った者が有利なわけで、著作権や版権、商標権という権利はそう

いった人達の「先駆者利益」を害しないように設定されている。

しかしそれを逆手にとって逆鞘の利益を得ようとする輩も多い。

日本の焼酎の銘柄等や企業名・屋号など彼の国では多くが使用できない

状態になっているのは常識で、ファッションブランドのコピーなどは、

既にある種合法的な産業と化していたりする。


日本を含む欧米先進国は、自国の人口がどんどん減っていく。ということ

で、製造工場としての中国に興味があるわけではなく、超巨大消費マー

ケットとしてお金を吸い上げる事に魅力を感じている。

彼の国の当局も、そのことを熟知しているワケだから高飛車にも出られる

し、上手く交渉の材料に使う。したたかだ。

しかし、ことクリエイティビティというソフトに至っては、近代文化の先

端に辿り着くためには、歴史と同じように何年もの熟成期間が必要であり、

何代かに亘る発想とスキルの、洗練と継承が不可欠なのだから、スポーツ

と違って鍛えるだけではどうしようもない。パクリが横行するわけである。

クリエイティビティというソフトを育む社会環境がつくれるか?

そこが鍵なんだと思う。


下北沢にて

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このページは、press_4dmode1が2010年4月25日 18:28に書いたブログ記事です。

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