TAMARA DE LEMPICKA
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムに「美しき挑発 レンピッカ展」を
見に行ってきた。
昨晩、新たに私の作品展示させて欲しいとの依頼があったお店に、その
打ち合わせのついでに美味いジンをご馳走になり、話題が盛り上がって
タマラ・ド・レンピッカの話になった。
レンピッカといえばアール・デコの流れに乗り、フランスでは
Les Annees Folles(レ・ザネ・フォール : 狂気の時代)と呼ばれる、
現代芸術への礎を築いた1920〜1930年の中でも、特に特徴的で重要な
芸術家である。
ピカソやコクトー、シャネル、ヘミングウェイ、フィッツジェラルドと
いった芸術や美や知の巨人達が活躍し、毎晩のように大騒ぎしていた
ハイテンション極まりない時代の女性である。
その画風は、流体的で肉感的な女性像を描くだけでなく、非常に戦略的な
色の構成力を誇り、綿密で幾何学的人物構成を球体面のように美しく描く。
彼女自身の美貌とファッションセンス、当時の女性としては類い希なる
行動力を併せ持ったことから、女性誌などにもよく取り上げられたりする
のだが、女性の芸術家によく見られる、彼女の作品のフォロワーが存在し
ない。ジョルジア・オキーフやフリーダ・カーロなどと同じく、唯我独尊
というかオンリーワンの芸術家でもある。
写真家と一緒にセルフ・プロデュースしたセルフ・ポートレートは当時の
写真技術から考えても異常なほど完成度が高く、また、美しい。
モノクロームの写真から色味を感じてしまうほどである。
モード系のファッションカメラマンや編集者なら、一度はこんな写真を
撮ってみたいのではないか。
自分の娘であるキゼットを描いた肖像画が特に秀逸である。
強くお薦めしたい「美しき挑発 レンピッカ展」である。
下北沢にて