身辺整理〜Talking Heads

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で、3枚目は「Talking Heads/Speaking in Tongues」。

トーキング・ヘッズといえばニューヨーク・パンクのバンドとして日本に紹介

されたのであるが、当初からパンクとは一線を引いた、

どちらかというとアートロック(あまりに古い表現なので流して下さい)を軸に

していたのではないか。例えば「サード・イヤー・バンド」等の流れを汲んで

いるように私には聞こえた。アレンジや音質は時代の流れを意識したパンク的

要素が当然のようにあったのだが、後の方向性を見る限りにおいて、パンクの

流れは単なる手段にしか過ぎない。このことからも「パンクは死んだ!」という

ジョン・ライドンの台詞は80年代の前半をしっかり掴んでいたことを目の当たり

にするようであった。

トーキング・ヘッズの核になる人物は、言わずとしれたデヴィッド・バーン(Vo,G)。

彼の指向性がこのバンドのベクトルを決定していたように思う。

その真骨頂はレコードジャケットのデザイン自体にもあからさまに表現されていた。

「モア・ソングス」では、デヴィッド・ホックニーの作品を彷彿とさせるインスタン

ト・カメラで撮ったグラフィック、ピーター・ガブリエルの作品と同様に、私がアフ

リカンリズムに傾倒していくきっかけとなった「Remain in Light」では当時まだ

主流ではなかったコンピュータグラフィックの手法を採り入れ、刺激的なジャケット

デザインに仕上げている。「Fear of Music」では、シンプルではあるが金属の質感

を紙ジャケに再現し、「Stop Making Sense」ではパフォーマーとしてのデヴィッド

・バーンを影使いとして見ることが出来る。

そして極めつけは、この「Speaking in Tongues」。

このデザインは今年の5月に逝去した芸術家ロバート・ラウシェンバーグ

(Robert Rauschenberg)の手に因るものである。

写真の下部にサインの部分を拡大しているので確かめて欲しい。

本体は透明なポリエチレン(だと思う。多分)。盤も透明でオペークインク或いは

シルクスクリーンで彼の作品をプリントし、重ね合わせることで情報のカオスを

産み出すデザイン。25年くらいは経っているので本体の透明素材が黄色く変色し

ているが、当時のレコードで個々まで行き着いたモノは皆無である。

はっきり言って多大な影響を受けているし、このデザインで人生そのものが少し

変わってしまった。大袈裟な話ではない、事実なのだから。

音の方の説明は面倒くさいので割愛するが、この初回限定のレコード盤を持てるだけで

幸せな気分なれた。絶世の美女と居るような感覚といった方が分かり易いかな。

で、お粗末ながら例の「Rekonnekted Extension Kit シリーズ」は4枚重ねると一つの

グラフィックが完成するという仕掛け。

ロバート・ラウシェンバーグに人生を狂わされ(笑、ジョークね)妄想にとりつかれた

スキソイドマンが此処にひとり。


下北沢にて

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このページは、press_4dmode1が2008年10月17日 00:24に書いたブログ記事です。

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