ピアノチューナー・オブ・アースクエイク
先日からやたらと取り上げているブラザーズ・クエイ新作映画
「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」が封切りされた。
映画監督というより映像作家・映像芸術家といったほうがしっくりと来る
素晴らしい作品の出来映え。
前もって短編を12作品ほど観ていたのである程度の予想は出来ていたのだが、
軽々と私の想定を超えていってくれた。
実に美しく妄想的な悪夢とも呼べる映像的耽美世界を創造している。
ストーリーとしては非常に分かり易いので初めてご覧になる方でも楽しめる
のではないか。これは多分にプロデューサーであるテリー・ギリアムの影響
が良い方へ向いたに違いない。
暗く曖昧なフォーカス気味の映像は、個性が際だつ役者演ずる登場人物の
芝居をと相まって、観る者をその映像の中にずるずると引きずり込んで行く
ようだ。光の使い方や質感、或いは静寂のもたらすエロティシズム、そして
僅かに湿り気を感じさせ、時間の奥行きを表現する錆びた色合いの世界。
映画美術や衣装に、異常なまでの一方向的こだわりが産み出した作品と
言っても過言ではない。
映画のラスト、月食の夜に行われたオペラでの惨劇と、機会演奏人形に
変わり果てる……。おっと、これ以上書くと野暮ですな。
なんにせよ、この狂気と妄想が美しく凝縮された映像は一見の価値あり。
「裸のランチ」「キンザザ」「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」
「ブラジル」等の映画がお好きな方には是非見てもらいたい。
4-Dをお好きな方には意外と合うんじゃないかと勝手に思ってんですけど。
観た方は是非次回の4-Dのライブ時に私を見かけたら声かけてください。
感想を訊いてみたいですね。
冗談じゃなくイイゾ!
「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」 URL:http://www.quay-piano.jp/
下北沢にて