野茂
桑田がメジャーを断念して引退した。
野茂がメジャーでは自らのポテンシャルを保てないと引退した。
そして清原が度重なる膝の故障に勝てず引退する。
一つの時代が終わりを告げた。
そして彼等が私より年下であるという事実に寂しさを感じる。
私は特に野茂に思い入れが強い。
日本人・米国人の誰一人として、彼がメジャーリーグというベースボー
ルの世界最高峰で通用し得ると思わなかった。
十数年前である。多少の淡い期待はあったにしろ、ドジャースで16番を
背負った野茂は当時の我々が想像できた、遙か上のパフォーマンスを見せた。
米国人は単純である。いかんなく発揮された「力」には素直に賞賛を送った。
しかし日本人は2年目に入ったコロラド・ロッキーズ戦、野茂が成し遂げた
ノーヒットノーランで初めて彼を日本人の誇りとして見るようになった。
野茂はパイオニアである。
かつてメジャーリーグでほんの少し活躍した選手が一人(マーシー村上)
いたが、成功と呼ぶにはおこがましい。
野茂はたった一人で挑み。アメリカというベースボールの頂点をキリキリ
舞いさせた。
彼のインパクトは、現在イチローが受け継いでいる。
多分私がベースボールというゲームを見ている間、野茂とイチローの二人を
超える日本人プレーヤーは今後現れることがないだろうと感じる。
松坂でさえ見劣りしてしまう。
彼等が残してきた足跡や言動に、多くの働く日本人は救われたんじゃないか
と思う。
強いチームには優れた個人がバランス良く集まっている。そういう点でベー
スボールは解りやすい。会社だろうが政治だろうが同じだと思う。
バランスが大事。
今年も灼熱の甲子園でプロ予備軍の品評会が行われているが、あの子供達の
中から私達を驚嘆させ、誇りを感じさせてくれる傑物が輩出されることを願
いたい。
下北沢にて