NOIR Odilon Redon
アート流れでもう一つ…。
随分前に成りますが、まだ、夏の暑さが厳しく残っていた去年
9月初旬に19世紀末のフランス人画家、オディロン・ルドン
の回顧展「ルドンの黒」を渋谷東急本店の東急文化村で観ました。
半年以上も前の展覧会を何故今頃書くのかというと、昨年観た絵画展の
中ではムンク異常にインパクトがあり、また、一風変わった面白さを
味わえる絵画展だったんですね。
モノクロームの線画・木炭画・水彩画が中心の展示で、絵の幻想的な
奥行きや世界観が宗教性も孕み、非常に個性的な画質を持った作家です。
それとは別に面白かったのが、彼の絵画作品が個々の関連性持つことに
目を付けて、アニメーションCGとしてストーリーを持たせたことです。
これは㈱キャドセンターというところがオディロン・ルドンの作品を
所蔵している岐阜県美術館に持ちかけた企画で、17分ほどの短編映像
作品なんですが、独立しているように思える個々の絵画作品が繋がりを
もち、ひとつの妄想的悪夢世界ともいえる幻想感を作り出すのに成功
している作品として完成しています。
絵画をCGに拠って映像化する手法は、かつて日本映画が誇る巨匠、
黒沢明監督が1990年に「夢」という作品の中でヴィンセント・ファン・
ガッフォ(ゴッホ)の絵を素材として使い、絵の中に紛れ込んだ画家
(寺尾聡の役)が絵画迷宮の中を彷徨うという作品を作っています。
黒沢作品とは本質的なテーマが違うので較べるのはナンセンスですが、
単純に短編作品としてオディロン・ルドンの動かない絵画を、動画にする
という結構気が遠くなる作業が報われた佳品に仕上がっています。
機会があれば是非。お薦めです。
下北沢にて