ムンク展

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12月2日、午後から上野の国立西洋美術館に出向き、「ムンク展」を

見に行ってきました。

日曜日ということもあり、上野駅から公園内は人人人…。

当然、西洋美術館内も人が溢れんばかりの状態で、もちろんゆっくりと一点一点絵画を

鑑賞することなど出来ようもないので、いつものように目当ての作品のみ集中して

観ていくというスタイル。


展示テーマとしてクローズアップされたのは、「生命のフリーズ」というキーワード。

ここでいう「フリーズ」とは建築用語で言う「装飾」という意味であるようです。

つまり、絵画を室内装飾として壁面を埋め尽くすという考え方。

所謂、壁画の感覚に近いムンクのプレゼンテーションである。

ムンクといえば、盗まれた「叫び」が有名ですが、あの「叫び」という作品が

「不安」「絶望」という作品との連作であるということはあまり知られていないようで、

今回の「生命のフリーズ」、室内装飾としての絵画の有り様を観てみると、はっきり

そのことが理解できるようになっております。

「叫び」という作品しか知らない人にとっては、ムンクってそんなに上手い画家ではなく、

暗くネガティブなイメージで、人間の内面を暴き出す巨匠って印象が強いのかもしれま

せんが、そういった作品ばかりではなく、しっかりとしたデッサンと機軸を持った画家の

一人であるということが判る展示内容になってます。


だけど、絵をよく見ていくと、同時期に10点〜20点の作品を常に並行して描いていた

のだと判ります。そして「絵」として完成してしまう前段階で殆どの作品の筆を置いた

ように見えますね。しかもワザと。「絵」の濃度がそれを著しているように思います。


絵画を生業とし、描くことで生計を立てるというのは、今も昔も変わらず大変なこと

でして、100年前のムンクも例に漏れず大変であったことでしょう。

室内装飾としての絵画、絵画で壁面を埋め尽くすという発想は、やはり、じっくりと

時間をかけて一作品を仕上げていくというより、コンセプチュアルに大量の絵画を制作し、

それをまとめて買い上げてもらうという、金銭的な発想もあったはずで、だからこそ、

ああいった絵のタッチに成ったのだと思います。

結構いろんな施設の壁面を手がけてたんですね。


故アンディ・ウォーホルやニューヨークを代表するマーク・コスタビなんか結構この

ムンクの手法を手本としているように思います。

コスタビなんか「叫び」「不安」「絶望」の路線を徹底的に踏襲してますもんね。

しかも、自分で「絵」描かないし。10人くらいのアシスタントに24時間体制で

描かせてパーティとか行って営業してるし。(それって画家か?)

どちらかというとプロデューサー或いはディレクター、もっと言えば経営者って立場

なんでしょうね。


でもムンクは一人で描いてたんだから凄いエネルギーですよ。

来年1月6日までです。お見逃しなく。お奨めです。


下北沢にて

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このページは、press_4dmode1が2007年12月 4日 23:06に書いたブログ記事です。

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