水うちわ
あるデザインの情報誌(ニッケイデザイン)で特集されていたので
知ったんですが、かつて「水うちわ」というモノが100年以上も前の
日本に存在していた。
京都が華やかしり頃、旦那衆といわれた大店の経営者達や、歌舞伎役者の
大物などが、盆地で暑い京都の夏遊びとして川上に河床を造らせ、芸妓や
舞妓を連れて料理人・食材も運び、川縁で粋に遊んでいた時代のものである。
舞妓が旦那衆の涼のためうちわを川水で濡らし、これを持って扇いで風を
おくったということである。
そのような逸話もさることながら、現代の手漉き和紙職人が、新しい試みと
してこれを100年以上前の技術で再現した。
材料は全てオーガニック。
透明な部分も全て手漉きの和紙(雁皮紙)で出来ており、水に濡れても破れない
よう何回も入念にニス引きし、丹念に時間を掛けて手作りした逸品である。
日頃、街中で配られている、販促物や広告物としてのうちわしか持ちあわせて
いない私としては、これを見た瞬間に一目惚れ。
うちわなんてタダで当たり前。のハズがなんと¥6,800もするのだ。
しかも今年は3,000枚限定。要は手作りなので数が生産できない。
でも、この透明感溢れる素朴さと清涼感に魅せられ、どうしても欲しくて、
HPでチェックし、百貨店とかに電話を掛けまくった。ネットでの販売も、
百貨店でも殆どが売り切れており、ようやく、渋谷のLOFTに3枚だけ残っ
ていたのを探り当て、8月に誕生日を迎える家人へのプレゼントとして購入
に及んだのであるが、贈られた当人はなんだか不服そうであった。
「何だ!うちわかよ!」ってなところである。
来年からも毎年コレのいろんなデザインを年1枚買って贈ってやろうか、と
云うと露骨に嫌な顔をされた。
そりゃそうだろう。私が魅せられて欲しいだけで、当人はどうだっていいの
であるからして。
しか〜し、そうではあっても、この風流が解せぬとは、粋が通じぬとは情けない。
私からのプレゼントは何十年も前から「傍迷惑」と決まっているのである!
所謂既定路線であるからして、来年も6月頃忘れずに購入したいモノである。
神戸にて