「夜のカーニバル」第2弾「re:Rekonstruktion」ライブレポート
30周年記念イベント「夜のカーニバル」第2弾、「re:Rekonstruktion」に
多数のご来場いただき、ありがとうございました。
アンソロジー・アルバム『Die rekonstruktion』のリイシュー記念ワンマン・
ライブいうことで、通常とは異なる内容でお届けいたしました。
ライヴは、昨年の電気蕎麦でのライヴでもVJを担当してくれた映像作家・
藤本達也氏による短編作品集の上映からスタート。どこか耽美的な実験
映像で、場内は早くも「夜のカーニバル」らしい怪しい雰囲気に。
約28分ほどの上映終了と共に3人が登場。
1曲目は「Mandarine Trauma」。
ライブの選曲会議をした際、「生タンジェリン・ドリームをやろうよ」という
ことになって生まれた新曲というか、アナログシーケンサーをベースにした
即興セッション曲です。
ライブ前半は3人の演奏ということもあって、基本的に今までの4-Dらしい
ライブといった趣き。
小西氏は「今日はすることが多くて、(何を告知したらいいのか)……
忘れた」とMCして「小西君、段取りが多くて」「メモリーオーバーしてますね」
と横川・成田氏に突っ込まれていたりもしましたが、「ひろせ」では遂に先生
キャラの本領を発揮!
演奏中盤にマイクスタンドと演説台(実際は譜面台を代用)を自らセッティン
グし、点呼リスト判読用拡大鏡とマイクを片手に出席の点呼が始まったわけ
ですが、途中から怒りの演説に大変身するとは(笑)、さすがに誰も予想して
いなかったことでしょう。
以下、演説の内容。
「ところで俺たちはひじょうに失望している!ここで点呼の希望者リストを
募ったところ、これだけ(注:正確な人数をバラすと、わずか5人)しかきて
いない!お前ら馬鹿にしているのかーーーーー!!!! しょうがないから、
もう一人紹介しよう。級長・上領亘!」
大歓声と共に本日のゲスト・ドラマー、上領亘氏が登場。
上領氏のパワフルなドラムに乗せて、小西氏の演説はさらに続きます。
といっても、新聞やネットから無作為に抽出した言葉の断片メモをランダム
に読み上げるカットアップ・スタイルのため、演説内容に深い意味はありま
せん(笑)。
読み終えたメモを客席に投げ捨てながら演説する小西氏に触発されたか、
しまいには横川氏までもがフロアに降りてメモを丸めて投げ始めたため、
場内はさながら怒りの政治結社集会のよう(ちょっと、違うか:笑)。
「ひろせ」の後は、これまた80年代の4-Dの代表的楽曲「LIFE PLAN」を
バンド・サウンド・アレンジで。
上領氏のドラム効果もあって、今日の4-Dは完全にロック・バンドと化してい
ます。
続いての「Chronometer-Null」は、1曲目の「生タンジェリン」と同じく即興
セッション曲。同じジャーマンでも、こちらは『ZERO SET』的なハンマービー
ト・サウンドですね。
セッション後は横川氏のMC。
4-Dが出演する6月23日のイベント「New Wave Junkies!」の告知と、物販
されている諸々のCDを1枚といわず2枚3枚4枚5枚と番町皿屋敷のように
買うように(笑)、とのことでした。
そして「では成田忍、歌います!」という紹介のもと、
あの「CERAMIC LOVE」が遂に!!
若い方のために説明しておきますと、「CERAMIC LOVE」というのは、
成田氏が80年代に4-Dと並行してやっていたユニット、SHINOBUの曲。
SHINOBUはその後URBAN DANCE(以下U/D)へと発展し、85年に
細野晴臣氏のノンスタンダード・レーベルからポストYMOとしてデビューを
果たします。
そのU/Dでも代表曲だったのが、この「CERAMIC LOVE」。
80年代の4-DのライブでもSHINOBUヴァージョンの「CERAMIC LOVE」
は演奏されていましたし、SHINOBUには横川氏も参加していた時期が
あったので、言うなればSHINOBU~U/Dというのは4-Dと地続きな関係に
あるわけです。
「CERAMIC LOVE」は『Rekonnekted』をリリースした時期のライブでも
「CERAMIC DUB」として、アンビエント・ダブなサウンドで演奏されたことが
ありましたが、今回はモロにアーバン・ダンスなアレンジ!(ただし歌詞は、
SHINOBU時代のもの)
これだけでU/Dファンは感涙ものなわけですが、さらに「-17℃」からメドレー
状態で、なんと「DANCE A GO GO」までもが!!! こちらはU/Dのラスト・
アルバム『TWO HALF』収録曲ですね。
リハの時には「歌詞が恥ずかしすぎて、笑っちゃって歌えないよ」と言ってた
成田氏ではありましたが、横川・小西氏がその歌詞のサビ(例えば「KISS
ME ANGEL~」とか「LOVE ME ANGEL~」とか)を一緒に歌うのは、この
先もしかしたら二度と見られないかもしれない貴重な光景でありました。
「昔の曲は中二病みたいで恥ずかしい」と言っていた3人が、その中二病と
真正面から向き合ったのが今回のライヴであり、ライヴの隠れテーマでも
あったんですねえ。
それを最も象徴していたのが、この「DANCE A GO GO」だったのかもしれ
ません。
アンコールは、再び「After Dinner Party」。
ただし、こちらは小西氏が歌って横川氏がベースを弾くヴァージョンということで、
まさに一粒で二度おいしい構成!(若い人には分からない表現ですんません)
そして二度目のアンコールでは横川氏の「それではみなさんと一緒に天国または
地獄へハイホーーーーーー!」という合図と共に、狂乱の「VERY」でメンバーも
客席も完全燃焼したのでありました。
今回のようなメニューのライヴが次に観れるのはいつになるか分かりませんが
(40周年? 50周年?)、中二病と真正面から向き合ったことで楽になった(解放
された)部分もあると思います。
作品では総合芸術ユニット路線を追求しつつ、ライヴではロック・バンドとしての
4-Dの可能性をどんどん開拓していってほしいものであります。
<SET LIST>
1. Mandarine Trauma
2. After Dinner Party Part.1
-MC-
3. SHAKU
4. Konversation Analyse
5. PIPER IN THE WOODS
-MC-
6. ひろせ
7. LIFE PLAN
8. Chronometer-Null
-MC-
9. CERAMIC LOVE
10. -17℃
11. DANCE A GO GO
-MC-
12. Angerstrasse
En.1
After Dinner Party Part.2
En.2
VERY