4-D mode1:最新インタビュー

4-Dの拡張は止まらない。
『Rekonnekted』から約2年半。
『DENKMAL』は、今まで以上に4-Dの多面性が発揮されたアルバムとなった。
聴きこむごとに見えてくる新世界。
それらが融合しあうことで、聴き手なりの電子音響碑が建立されていくのだ。
その特性や、完成までのエピソードなどを3人に語ってもらった。
解読の手引きとして活用していただきたい。


テーマは「日本」「リズムはBPM速めで4つ打ち」
■『DENKMAL』は、『Rekonnekted』以来2年半ぶりのアルバムとなります。今回も3人それぞれの個性がミックスされた独自の世界が展開されていますが、制作にあたって今回はサウンド面でどの部分(例えば、ヴォーカル、リズムなど)を強化していこうと考えましたか?

成田:全体的な事でいえば、前のアルバムより我々のライブに近いものを作ろうということがありました。
音源では歌モノが多かったのに、ライブでは叫んでたり、即興のラップやってる(笑)みたいなことで、 もっと自分たちが素直にやり易いスタイルを追及したつもりです。

横川:私個人の関心は、リズムでしたが、コンセプトの打ち合わせでトータルにテーマを「日本」、「リズムはBPM速めで4つ打ち」と設定できたのがよかったです。

小西:「日本」ってのがあったんだ(笑)。

■DENKMAL(デンクマル。ドイツ語で「記念碑」の意)というタイトルはどのようなイメージからつけられたのでしょうか?

横川:これは小西君から答えてもらうのがよいでしょう。

小西:最初は「Merkmal」(メルクマール。ドイツ語で「指標、目印」の意)ってのを提案したんだけど、諸事情により…(笑)。
考えたのは、前作アルバムのインタビューでも言ったように、横川の言ってた「完成することのない構築作業から、時折漏れてくるノイズ(CDやライブ)」って記録的な意味合いを持つ言葉を探してた。
Leipzigで、僕が好きな場所Volkerschlachtdenkmal(ライプツィヒ諸国民戦争記念碑)へ行った時に、Denkmalってのはどうかと思い、写真を撮ってスタッフとメンバーのメーリングリストに送った。




アルバムの背景には、表に出てこない膨大な音の断片がある
■レコーディング自体は1年以上前から行なわれていましたが、2010年に入ってから一気に仕上げるという形をとりました。そうなった理由を教えてください。やはりアルバムの方向性が見えてくるまで時間がかかってしまったということなのでしょうか?

横川:最終締め切りがないと、まとめない、まとまらないです。アルバムという形になっている背景には、いろいろなサウンドや曲が山のようにあるけれど。

小西:そうね、1枚目の時もそうだったけど、もう2度と表には出てこない、記憶からも抜け落ちてて、PCの中だけにひっそりと存在している断片が一杯あるね。

成田:この面子でスタジオに入るととんでもないスピードで音が生まれてくるのだけど、なかなかそこからが時間がかかるんですよ。この段階では建物でいうと足場ができていないのに素敵な玄関や窓や応接室が出来ている状態で、完成形に至るまでにはいろんなトライ&エラーを繰り返し行なっていくわけです。4-Dは基本的に自由過ぎて、超楽しいけど、絞り込むのは大変難しいのです。
そんな中で思ったのは、時間がない追い込まれた状態で、必死で作業しているうちに何かどんどんノッてくるのがわかる。自分のだけじゃなく、横川も、ミックスしたものが日を追うごとに良くなってくる。。。驚きでした。
カジバリズム(火事場リズム)とでもいいましょうか(笑)。

■「緋色のCrew」では中野テルヲさんがリミックスをされていますね。中野さんに依頼した経緯は?

成田:中野さんの音源を聴いたり、ライブもご一緒したりして、彼の独特のセンスが好きだったんです。それで、全員一致でお願いしてみようということになりました。
僕が連絡役はやりました。なんか他の2人はどうもテレがあるみたいで…。
思った以上の出来に満足です。

小西:良い感じに全容が聞こえるようになって、お願いしてよかったと思ってる。
(曲名の表記に関しては)ほんとは作った当時から"Hiirono Crew"って書きたかったんだけど、読みにくいからね(笑)。

■「アンジュ・ソレイユ」ではシャンプーの折茂昌美さんが作詞とヴォーカルを担当されています。折茂さんの詩の世界のどういうところに魅力を感じて依頼することにしたのでしょうか?

横川:平沢くんと折茂さんの歌詞は、自分にとっては日本語で書くための出発点です。基本。


ライプツィヒで収録した音は曲の深層部分に位置している
■このところ小西さんは年に何ヶ月かドイツのライプツィヒに滞在して創作活動をされています。ライプツィヒで録音した音のマテリアル(日常音や街のノイズなど)が使用されている曲はありますか? また、それはどのようなところから採集したのでしょうか?

横川:「-17C」のオケは、小西君にもらったライプツィヒの音マテリアルから組み上げたと思う。あと、「breath」の中間部のドアの音も小西コレクション。

小西:Leipzigで収録した音は、工事現場の音からおじいちゃんの戦争当時の話まで、膨大なストックがある。
工事現場や路面電車の車内音は、常時パーカッシブに使用されたりしてるけど、仕上げの段階で楽曲の深層部分に位置したりしてて、わかりづらいと思う。
一番わかりやすいのは、一曲目の「Erweckung」で、街で録音した「マッドな宗教家」の演説を歌っているかのように加工した。
よーく聞くと"Menschen in Leipzig"って言ってるのがわかる。
ドアのきしむ音は、大好き。
みんな古い家に住んでるから、デカいドアがきしむ。
「breath」のは、僕が最初に住んでた家のドア。
この音録音してすぐに、100均(1EuroShop)行って、円滑剤スプレー買って、直した(笑)。

■「breath」には2月22日のUPLINKにおける4-D ELEMENTS -Recording Process-で行なった公開録音の音素材が使用されています。どのように加工/編集して使用したのでしょうか?

横川:『Rekonnekted』の「僕の工場…」ほどあからさまではないですが、公開録音でいただいた音ファイルを大量に使っています。中間部では一部聞き取れますが、このほか、もろもろのデジタルエフェクトで、シンセのパッド(白玉)のように聴こえる音や、特殊ヴォコーダーのトリガー(演奏させるきっかけ)などにも使用。コンピュータで音を作るのは、究極ランダムをどう扱うかということだと思います。そこで、コンピュータにランダムを計算させるかわりに、Elementsで録音した音素材をランダム発生装置にしています。


誤解や歪曲を作る作業
■天津さんがデザインしたパラレログラム・ジャケットの現物を初めて見た時にどう思われましたか?

横川:いかす。絶対、他にない。

小西:びっくりした!どうやって再収納するのか、飲み屋で天津君に聞いた(笑)。

成田:面白い、いかす、だけじゃなく、DLしてカレンダーにもなるという、CD ジャケットとしては画期的な、“便利”までプラスしちゃいました(笑)。

■EP-4の佐藤薫さんに執筆していただいたライナーノーツを読んでどう思われましたか?

横川:いかす。絶対、誤解しかできない。

小西:想像してた感じに書かれてて、うれしい。

成田:この前佐藤氏と会う機会があり、分からないほうがいいと思うよ、って言われた。“はあ…?”って感じ。まあ、常に彼流で、いかす。

■小西さんは馬騎尚寺、T.K.M.Fなど他にもいくつかユニットを組織していますが、他のユニットでの活動予定はありますか?

小西:馬騎尚寺は未定、T.K.M.Fは今年中にミニアルバムを出す。来年はフルアルバムを海外でリリースしたいと思っている。
あと、Leipzigでやってるエフェクティブなコントラバス奏者とヘブンリーボイスなバンドのレコーディングを二月にする。

■小西さんは「クレプスキュール」で川喜多美子さんとデュエットされていますが、デュエットした感想を教えてください。

小西:最初は僕が歌う予定じゃなかった(と思う)。
一年ほど前のスタジオセッションで、もう終わりにして帰るんだろうと思ってたら、「歌って」って事になって。
このセッションの時は、片耳が聞こえない状態だったから、ガイドメロディーが聴き取りにくくって、とても苦労した。
歌詞のアウトラインは、遠藤彰子さんの過去の耳鳴りと目眩がしそうな絵画集からイメージを引き出した。
リリース・ライブのMCでは「いやらしい、どろどろの」って言ったような気がするけど、これは脳内妄想の塊みたいなラブソングだよね。
美子ちゃんの声だって、ほんとは存在してないのかもしれないよ。

■今回は歌やリーディングなど、さまざまな角度から“声”にフォーカスしているのも特徴の一つだと思います。声に着目した理由は?

成田:先ほど「日本」というキーワードと言ってましたが、レコーディング中、横川が京都のお寺に行った時にもらったパンフレットに書かれていた文章を突然ラップのようにしゃべり出した時、“おーっ!!”と、そのカッコ良さに驚きました。もちろんそのままではないですが、「蒼のEcho」や「錫」で威力を発揮しています。あと、冒頭の「Erweckung」や「no date」などいろんな場面で多用した、声のスライス。これ、すごいフックがあるよね。

小西:意味を持った単語や文脈をコンピューター内で再構築する作業は、全く元とは違った言葉の意味を作り出す作業で、すごく面白くて新鮮だったね。 ってか、すべての楽曲が、スタジオで収録した音断片の、編集作業と再構築のかたまりみたいなものだけど…。
一種の誤解とか歪曲を作る作業だったと思う


レコーディングは発見の場
■4-Dにとって、レコーディングとライヴはそれぞれどういう意味を持っているか教えてください。ライヴはただ単に録音物の再現という行為以外の意味を持っているように思えるのですが。

横川:ライブが基本、もっと上を目指したい。レコーディングは発見の場。

成田:ライブで再現性は全く求めてない。その場で昇華すべきもの。とってもロックで潔し。

■本作で4-Dの音楽に初めて触れる若い人もいると思われます。そういう人たちに、4-Dの楽しみ方のアドバイスをお願いします。

横川:うるさくない? 逆に、どう聴こえているかを知りたいです。

成田:別に細かく分からなくても結構。正体不明の脳内の変化を楽しんでください。


中野テルヲ・インタビュー

今回、「緋色のCrew」のリミックスを担当していただいた中野テルヲ氏。
大胆なダブ処理が施されたサウンドは、通常のリミックスという概念とは大きく異なるものだ。
解体/再構築という作業を通じて浮かび上がってきた、中野氏ならではの4-D観。
それを特別に公開していただくことにしよう。


リミックスというよりアレンジの作業に近いと思います
■中野さんがリミックスされた「緋色のCrew」はリミックス名が「Teruo Nakano’s Cafe Mix」となっています。どのようなイメージのもとにリミックスをしていったのでしょうか?

いただいた素材を聴かせてもらったところ、小西さんのボーカルトラック、それから平沢さんのナイロン弦によるプレイが素晴らしかったので、その良さを生かしたいと考えました。
Cafeというワードを出してくれたのは小西さん。出来上がりを聴いていただいて「雰囲気はCafeがバッチリだ」と。

■リミックスはどのような過程を経て完成したのですか?

最初に素の歌メロからコードを決める作業をしました。歌モノっぽくしたかったのでサビはポップに。
リミックスというよりどちらかというとアレンジの作業に近いと思います。小西さんと平沢さんのトラックだけを使い、新たにコードをとる楽器と声の要素、低音の動きとシンプルなリズムを加えた段階で、ディレイの効果をライブ感覚で随所に付けていきます。後は隙間にサイン波、短波ラジオ、汚しなどを施しました。

■リミックスには中野さんのヴォーカルも入っていますが、小西さんのヴォーカルと共演してみてどうでしたか?

サビで小西さんのオクターブ上を歌っています。隙さえあれば自分の声を入れ、一方的に共演してしまうという。しめしめといった思いです。ちなみにコーラスパートは「どうぉうぉ、いぇへへ」と歌っています。

■リミックスをしていて、4-Dのサウンドの特徴や個性として中野さんが気付いた部分がありましたら教えてください。

小西さんの声の周波数です。

■「緋色のCrew」のリミックスは中野さんならではの気持ちいいダブ・サウンドになっていると思います。中野さんにとってダブの魅力とは?

大胆なイコライジング、過剰なエコー処理とミュートによる技巧。80年代のパンクロックが接近したレゲエやダブに特に影響を受けました。

■中野さんが4-Dというユニットに対して抱いているイメージは?

個性のバランス。単位としての完全体。アグレッシブにしてお洒落。4-Dはソノシート配布の時代からファンです。

■『DENKMAL』を聴いての感想をお願いします。

アルバムを通した曲の流れの快感、そして聴きどころ満載の音。耳が喜びます。


折茂昌美(Shampoo):インタビュー

『DENKMAL』には多彩なゲスト・ヴォーカルが参加している。
アルバム前半のハイライトを飾る重要曲「アンジュ・ソレイユ」では、シャンプーの折茂昌美さんが作詞とヴォーカルを担当。
クールネスと妖艶さを併せ持つ歌声は、ミステリアスな電子音響の森の中を浮遊する妖精のようだ。
その制作の舞台裏は、どのようなものだったのだろうか。


かつてない私を誕生させてもらいました
■「アンジュ・ソレイユ」の歌詞はどのようなイメージのもとに書かれたのでしょうか?

ずばり『DENKMAL』です、そのタイトルからイメージをもらいました。
時が経てば忘れ去られてしまうもの、脆く朽ちてしまうものの普遍化、記号化。
その記号を少しだけほぐすような…そんなイメージで作らせていただきました。

■曲の後半のリーディングは誰のアイデアですか?

もともとのデモ(成田さんの仮歌入り)にリーディング的な音が入っていたのでその時点でのアイデアは成田さんなのでしょうか?でも予定では喋る量はもっと少なかったんですよ。
レコーディング当日になってスタジオで録音を始めたら、今度は横川さんが、喋りがいいからもっと増やそうと案を出されて…一挙に喋る量が増えました(笑)。

■どのような制作過程を経て完成したのか、大まかな流れを教えてください。

歌詞はデモが届いてからです。
最初に曲を聴いたときのインパクトで、ある程度一気に書きました。

大まかな流れは、
デモが届かない→届かない→届かない→届かない→届かない→届いた!
→中身は後でいいからまずタイトルを下さいという依頼(笑・汗)
→24時間後タイトル提出→36時間後歌詞提出→レコーディングまでゆっくり見直し

■シャンプーのレコーディングと比較して4-Dのレコーディングの現場はどうでしたか?

安心感がありましたね。始めから好きに料理して下さいっていう気持ちで臨んでいますから終始リラックス。もちろんこれは絶対的な信頼感があってこそです。4-Dの皆さんの言いなりになっていれば間違いはないと。
あと、成田さんのオペレーティングがすごく巧みで…すごく上手に誘導されつつ(笑)レコーディングすることが出来たのは本当に有り難かったです。
シャンプーのレコーディングも基本的にはそう違いはありませんが、ここまで他力本願ではいられない分もう少し切実な空気があるかも。それも楽しいんですけどね。

■レコーディングで折茂さんの歌声と4-Dのサウンドが融合した瞬間、どう思われましたか?

痛快。思わず笑いました。
いくつかテイクを録ったのですが、そこか!そこチョイスするんだ?!…と(笑)。
これは人と何かを作る時の一番の楽しみであり醍醐味です。私はかつてない私を誕生させてもらって、4-Dはあくまでも4-D。おみごと。

■折茂さんが4-Dというユニットに対して抱いているイメージは?

自由な人たち!

■『DENKMAL』を聴いての感想をお願いします。

実験と遊びを繰り返す4-D。
よりピュアな稚拙を保つ4-D。
過去と未来、大人と子供を自由に行き来する、「DENKMAL」は成熟の瞬間の点なのか。
たまらなく繊細な内向性が、暴力的にクるアルバムでした!


メディア露出情報

・『CDジャーナル』2010年10月号 レビュー掲載
(2010年9月18日発売)
http://www.cdjournal.com/Company/products/cdjournal.php?yyyy=2010&no=10

・音楽、マンガ、お笑いのニュースサイト「ナタリー」
最新音楽ニュース欄にてリリース情報掲載(2010年9月14日)
http://natalie.mu/music/news/37616


『DENKMAL』特典情報

各店舗によって特典内容が異なります。ご注意ください。


disc union
ディスクユニオン・オリジナル特典
【クレプスキュール・オリジナルバージョン収録CD-R】(お買い上げ先着特典)

ディスクユニオン渋谷中古センター限定・先着特典
【クレプスキュール・オリジナルバージョン収録CD-R】+「DENKMAL缶バッジ」

なお、下記の店舗では9.12高円寺HIGHにて販売された「DENKMAL Tシャツ」も限定販売しております。

・渋谷中古センター内2F
http://diskunion.net/shop/ct/shibuya_used

・新宿本館BF
http://diskunion.net/shop/ct/shinjuku_jp

サイズはS/M/L。各\2,500(税込)
限定ですので、なくなり次第終了です! こちらもお早めに!

http://diskunion.net/jp/ct/news/article/1/17537
http://diskunion.net/portal/ct/detail/IND5547


shop MECANO
【メカノ・オリジナル特典】
1)「アンジュ・ソレイユ」のカラオケ(折茂昌美さんのコーラス入)
2)「クレプスキュール」女性専用カラオケ(小西健司のヴォーカル入)
の2曲と歌詞を印刷したCD-R

http://blogs.yahoo.co.jp/adoopt_s/61792525.html

※通販可能
下記アドレスにお問い合わせ下さい。折り返し入金方法をご連絡致します。
mecano@jcom.home.ne.jp


ブリッジ
通販のみのオリジナル特典
「Persoenlichkeitsstoerung」(小西健司による未発表曲)を収録したCD-R

http://bridge.shop-pro.jp/?pid=22677848


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